過去に大流行したネットワークビジネス

当サイトでは学生ローンとネットワークビジネスとの関連性について解説するものだが、ここでいくつかネットワークビジネスの被害例を挙げてみたいと思う。

1.スカイビズ
過去に最も大流行したネットワークビジネスである。インターネットの普及初期、ホームページの作成と称したビジネスが学生たちの間で大流行した。
特に問題となってのが、そのビジネスにかかわる対象者が、ほとんど未成年者だったという点である。
通常、ネットワークビジネスは社会的批判を少しでも回避する為、また、クーリングオフの危険を回避する為、未成年は扱わず、成人だけにターゲットを絞るのが通例だ。
さらに驚くべき点が、このビジネスの集客力である。
学生ローンでは、通常、新規客の申し込み数は、10人もいくかいかないかといわれている。
へたをすれば数名程度だろう。
ところが、この時期の学生ローンの新規客の申し込みはハンパではなかった。
一説では、一日に50人を超える日もあったといわれている。
未成年客の急激な増加に伴い、学生ローンでは未成年取り消しの主張が相次いだ。
このころまでは、学生ローンは未成年者への貸付をほぼ全社取り扱っていたが、スカイビズを境に未成年者に対する貸付が警戒されるようになった。
学生ローンとネットワークビジネスの問題点が指摘されるようになったのも、ちょうどこのあたりからである。
消費生活センターでもこの問題を重要視し、注意喚起を促すようになっていった。

2.ニュースキン
ニュースキンも一時爆発的に大流行した典型的なマルチ商法だ。
どちらかというとアムウェイに近く、化粧品などを扱う。
これまで多数のネットワークビジネスが流行したが、比較的まともな部類だったかもしれないという印象だ。
その理由は、商品実態がハッキリしている点で、マルチ商法の合法性に一応は準拠している恰好だからだ。
ただ、人を紹介すればするほどランクがあがり、利益につながるという点が、マルチ商法そのものであり、気になる点だった。
最近ではサッパリ聞かなくなったが、その後の活動内容は不明である。

3.高収入アルバイト
「借用書詐欺」として2010年~2015年にわたる長期間継続した詐欺まがい商法である。
フェイスブックやツイッター等のソーシャルメディアを利用し、獲物を物色する。
ソーシャルメディアを駆使した勧誘手法を取り入れた先駆け的な詐欺商法だ。
このビジネスの概要は、「高収入アルバイト募集」とインターネットを通じて広告をだし、応募してきた者に消費者金融から金を借りさせ、借りた金を巻き上げる非常に悪質なものである。
手法としては、5千円~3万円の「アルバイト料」をだし、詐欺師と被害者との間で借用書を取り交わすというものだ。
もはやビジネスなどではなく、完全に詐欺と言ってよいだろう。
この詐欺では、借用書を詐欺師とかわしているところから、金銭貸借契約が成立してしまい、詐欺での立件が難しいのが特徴だ。
警察も動いていたようだが、なかなか立件までいかず、被害者が泣き寝入りする事がほとんどであった。
それにしてもこのような詐欺になぜ引っかかってしまうのか?しかも数年間にもわたって継続したのである。
摩訶不思議としか言いようのない詐欺であった。

4.スポーツアービトラージ
アービトラージとは、裁定取引の事で、スポーツアービトラージとは海外ブックメーカーにおいて、必ず勝つ事ができる「かけかた」だ。
どういうことかと言うと、例えばサッカーの試合で、チームKとチームYの試合で、どちらかが勝つかという単純なカケをしたとする。
この時、ブックメーカーAでは、Kのオッズが1.2倍、Yのオッズが0.7倍を示していたとする。
ところが、ブックメーカーBでは、Kが0.8倍、Yが1.1倍を示す事がたびたびあるのだ。
ここで、A社では「K」にかけ、B社では「Y」に同額をかければ、必ず利益が出るというのがアービトラージである。
確かに理屈では正論なのだが、実践的にはそうはうまくいかないのが現状だ。
まず第一に、そこまで都合よくオッズが割れる事がないこと。
そして、手続きが複雑であること、さらにこれが一番の問題なのだが、日本でこういった取引をする事は、違法行為にあたるのだ。
もし見つかれば、当然罪に問われる。
さらに問題なのが、このビジネスの法外な費用だ。
このビジネスをはじめるにあたり、初期費用として56万円ものDVDを購入させられるのだ。
とてもではないが、学生の身分で手を出すような案件ではない。
高額な上、日本では違法行為という二重のリスクを負ったネットワークビジネスといわざるをえないだろう。